イベントレポート:「戦略的大学生活のススメ vol.12 起業家と投資家のお話」

10月12日(木) Tsukuba Place Lab(プレイスラボ)にて、起業やベンチャー、戦略的インターンに興味がある人々の交流会『戦略的大学生活のススメ Vol.12』が行われました。このイベントはフラー株式会社のスポンサーで毎月定期的に行われており、プレイスラボを経営する堀下恭平さんがつくばにいる人に対して、何かやりたいことを応援する場を提供したいという思いで始まりました。

今回は、シャアトレで起業した体育専門学群の木村友輔さんやフラー株式会社の常間地悟さん(このサイトを運営するTFFの理事でもあります。)、ベンチャーキャピタリストの竹内壮輔さんがパネリストとして登壇し、お酒や食事をとりながらゆる~く『起業家と投資家のお話』をテーマにクロストークが繰り広げられました。

そこで、そのクロストークの内容をセッション形式の記事として公開したいと思います。ぜひ、この記事を参考にしていただき、みなさんのアントレプレナーシップに何か影響を与えることが出来たらいいなと思っております。(Saze)


パネリスト
木村友輔(筑波大学 体育専門学類所属、株式会社シェアトレ 代表取締役)
常間地悟(筑波大学 国際総合学類卒、フラー株式会社執行役員)
竹内壮輔(REALITY ACCELARATOR COO)

ファシリテーター

堀下恭平(Tsukuba.PlaceLab 代表)


堀下:今回のセッションテーマは『起業家と投資家のお話』ということで、まず学生起業家の木村君のストーリーから入りたいと思います。


木村:まず、二年前はホントにサッカー部のジャージを着た普通の体専の学生だったのですが、心の中ではいつか起業してやろうとずっと思っていました。

きっかけは、サッカー部に入部した初めての試合で、肋骨を折ってしまったことです。大学での初めての試合で気合いが入りすぎてしまい、キーパーに飛び込んでそのキーパーからローキックをくらい、肋骨を折ってしまいました。それから三か月はホントにやることが無くなってしまい、夏休みは平砂の五畳間でずっと自己啓発本を読む生活をおくっていました。

呼吸しても痛い、笑うと痛い、筋トレもできない、ホントにやることが無い中で、アイディアを付箋に書いて冷蔵庫に張っていた習慣を振り返って、そこに『練習メニュー共有サイト』が貼ってあったので、これを作ってみようと思ったことがきっかけです。最初はすごく大変で仲間が全く集まらなかったので、自分で簡単にサイトを作ってみてシェアトレのモデルサイトを作りました。

しかし、誰も投稿する人がいなくて自分のブログみたいになってしまい、無理だなぁと諦めていました。そんな中、筑波大学の授業の一環で起業家育成プログラムというものあったので、その場で案を発表したところメンバーが三人集まり、TFFのクラウドファンディングで資金集めをしました。

実際、肋骨を折ったから今があると思いますし、全部自分でできたらスピード感を持ってやってこれ無かったと思います。起業したいとおもっているけど、プログラミングできない人はむしろチャンスで、魅力的なアイディアを出せば絶対食いついてくれるエンジニアがいるので、そういう場で積極的に自分の案を発表していくことが重要です。

常間地:二年前に初めて会った時から思っているけど、すごくおおらかだよね。へこたれてもへこたれているように見えない。なんでも突破していくよね。

木村:苦しいことを楽しんでいるからだと思います。試行錯誤している時点でうまくいっていると思っているので、苦しいけど楽しいんですよ。

堀下:苦しいことも楽しみの一つとして捉えている部分、純粋にかっこいいですね。

次に、投資家の竹内さんが今まで体験してきたことやVCを立ち上げた経緯についてお聞きしたいです。


竹内:僕、1社目の会社は朝起きれなくてクビになったんですよ((笑))。当時、所属していた会社の業績が傾いていたのも原因なんですけど、売上目標とか外したことないのに退職勧告されてしまいました。その時思ったことが、会社は基本的に自分のためには何もしてくれない、助けてくれない、だから一人で生きていけるようにならなきゃいけないって痛感しました。

退社した後は、会計の勉強を初めて、たまたま友人が経営していた会社の財務を担当することになって、たまたまその会社が上場することになったので、たまたま会社の上場に携わったり、銀行から30億円借りるような経験がいろいろできました。その後、たまたまVCやりたいっていう人がいて面白そうだなってなってやりました。

なので、自分のキャリアに再現性がないので上手く説明できないんですけど、ただ何かやるときに意識していることは面白そうだったらやることですね。VCをやりだしたきっかけも、たまたま前職でVC担当をしていた時、一緒にやったらおもしろそうだなという方と出会えたことがきっかけです。

堀下:木村君も常間地さんも運がいいと思いますか??思いますよね((笑))みんな運がいいと思います。というのも、ここにいるような、事を成し遂げてきた人達って転がってきた運をしっかり引き寄せてチャンスにしてきていますからね。


常間地;僕は、運がいいとかじゃなくて、良いことも悪いことも全て偶然の積み重ねだと思っています。全ての人の人生って再現性が無くて、同じ過程をたどれる人なんていうのはあり得ません。


竹内:一番運がいいなと思ったのは、最初の会社にクビにされたことですね((笑))。会社が守ってくれていたら、一人で生きていけると思えてなかったから。


木村:僕も肋骨折って良かったです((笑))


堀下:木村君は元々サッカーやるために筑波来たけど、ケガした時点で正直きつかった思うんだよね。普通、競技者はケガしてブランクがあると中々ついていけなくなったりしてそのままやめちまえ、っていう人も多いし。その逆境の中で、普段のメモを取る習慣からチャンスを生み出して、今に至るってすごく持ってるなと思う。


木村:運がいいって良く言う人が多いと思いますけど、僕は普段から運がいいといえる状態にしています。高校時代から落ちているごみは拾うようにしていて、というのも人が落としたものを運だと思っているからです。それを拾っているから人よりも運を持っている、と考える。

ただ「運が良い」と言っている人は自分に自信が無いんだと思います。そうじゃなくて、自分で自分の行動をもって運がいいと思ってみるとホントに運が良くなっていくんですよ。ゴミを拾うのは環境にもいいし、お金もかからないのでおすすめです。


常間地:全て偶然から成り立っているじゃないですか。僕が今朝5時32分に起きた直後に資料があがってきて、仕事しようと思ったのも偶然。全ての行動が偶然から形作られていて運が良さそうに見えるのも、悪そうに見えるのも偶然なんですよ。僕が、筑波大に入ったのも、もう満員電車一生乗りたくないと思ったから、電車で通わずに済んでプラス国際関係が学べる関東圏の国立大っていう条件で探したら筑波大一択だった、っていうのも偶然。

一番重要なのは、偶然が積み重なった世の中で、ごみを拾うように自分がこれだと思ったことをつかむ。自分がこれじゃないと思ったことも見逃さずによく見ることじゃないですか。そして、その数をこなした人が一番ノウハウが溜まるし、成功に近づけるんじゃないかな。だからこそ骨折したことも、退職勧告されたこともいいことに変わっていくんじゃないかなと僕は思います。


竹内:フラーに投資したこともホントに偶然でしたからね。僕の奥さんがスタンフォード大に社費で留学することになったので、会社を辞めてサンフランシスコに一年間住んでいた時、たまたまフラーの渋谷君を紹介されて、その場で面白そうだと思ったので、前職のVC担当に話してみたらすんなり通ったんだよね、僕辞めてる人間なのに((笑))。かなり偶然の出来事だよね。


堀下:なるほど。今回、投資家と起業家のテーマでクロストーク行っているので、中々聞けない、投資家はどのような事業に投資するのか、とか聞いてみたいですね。竹内さんいかがですか?

竹内:僕は、B to Bのベンチャーに投資することが多いです。なぜB to Bなのかというと、会社をどうしたら成長させられるか、その事業成長の再現性をどう確保できるという部分を意識しているからです。B to Bの場合、比較的モノを売りやすい。だから、ある会社が一回成長できたら、それを他の会社でもできる。その再現性の確率を高められるのがB to Bなんです。


木村:確かに、B to Cはマーケットにお金を持っている人が少ないので難しく感じます。その市場がからお金をとろうとしたら、超価値があるものを提供しなきゃいけないですからね。


竹内:それとB to Cは運に左右されがちだからね。特に、プロモーションして受け入れられるかどうかとかね。B to Bはその効果をある程度排除できるってこともポイントですね。

それとVCがどこを見て投資しているかっていう質問に対しての答えは勘です。VCも、スタートアップ自身も、出された事業計画がそれ通りに行くとは全く思っていない。特にシードであれば、何を信じているかとか、どのくらい感覚が研ぎ澄まされているかが重要です。その人となりとか事業の期待値、面白さがあればあるほど良いと思う。僕が投資した企業も2社くらい倒産しているし。投資したからといって、成功するわけじゃないし、なかなか投資されない企業の中にもすごい良い企業があるかもしれない。グーグルがそうだったようにね。つまり、投資家に断られることはどうでもよくて、100人のうち2人くらいは投資してくれるんで、その二人に出会うためにしこたま人と会うことが大事です。


堀下 そろそろお時間なので、最後質問タイムを設けたいと思います。

Q : 起業はしたいけど、アイディアがありません。どうやってアイディアを生み出したらいいでしょうか?

木村:個人的におすすめするのは、普段の生活で面倒だなと思ったことをなんでもノートに書くこと。具体的なサービスまで思い浮かべなくていいけど、それが要は世の中にある課題だから、なにかしらヒットする場所があると考えてノートに書き込んでおく。今日も電車の中で、3つアイディアを出しました。ホントにくだらないことでいいと思います。ふと良いなと思ったものをなにかしらに書いておくことで、違うアイディアとも繋がります。駄作でもいいから書いておく。ただ、基本人間が思いつくサービスは既に存在することが多い。アイディアに価値は無い、自分が思いつくってことはだれでも思いつくものなんですよね。

アイディアを形にして、なんで自分がやらなきゃいけないのかまで考えないとそこに価値は生み出されない。

それとアイディアが出たら友達に必要か聞いてみる。最初にありがちなのはすぐサービス作ろうとしてしまうこと。基本的にアイディアはみんなが思いつくものがほとんどで、そのアイディアがサービスとして存在しない理由は、儲からないか他に障壁があるか。

シェアトレの場合は儲からないことが要因だったので、じゃあ学生のうちにやっちゃおうかってことでやりました。


『戦略的大学生活のススメ』は毎月、第2木曜日に行われております。みなさんもぜひ、参加して今までにない刺激を味わってみませんか??

Text:Atsushi Saze

TwinWeeks - TFF -

筑波大学出身の起業家、実業家から在学生の様々なEntrepreneurship(起業家精神)を知ることを目的とした、筑波フューチャーファンディング(TFF)のオウンドメディア「TwinWeeks」です。