アントレ寄稿:自由と責任と、少しばかり大きな理想を抱えて生きていく。

株式会社しびっくぱわー代表取締役社長 堀下 恭平さん(名峰 筑波山のふもとにて)

筑波大学 生物資源学類4年次休学中に『株式会社しびっくぱわー』を創業し、行政コンサルティングをメイン事業として起業しました堀下恭平と申します。


最近では『Tsukuba Place Lab』というコワーキングプレイスにて日々たくさんの筑波大生とお会いしているので、その代表、とご挨拶したほうが見知ってくださっている方も多いかもしれません。あるいは、まちのお掃除をするNPO法人グリーンバードつくばチームのリーダーとしての活動の方をご存じの方が多いでしょうか。


いずれにしましても、筑波大学在学中に起業し、この春に卒業したばかりの“新卒1年目”である私が、こうして記事を書く機会をいただけましたこと、またこの文章を読み始めてくださっている皆様に感謝申し上げるところから、私の考える「Entrepreneurship(起業家精神)」についての文章を書き起こしていきたいと思います。


改めまして、お読みいただきありがとうございます。

簡潔に私の考えるEntrepreneurshipを一言で申し上げてから、体験や思うところについて述べたいと思います。

実はタイトルで既にその“一言”について言及しています。

私にとってのEntrepreneurshipとは「自由と責任と、少しばかり大きな理想を抱えて生きていく」ことです。


ここで少しだけ私の体験とそこからの気づきを交えつつ、私の考えるEntrepreneurshipについて述べさせていただきます。

2010年春、筑波大学入学を機に、生まれ育った熊本を離れ、つくばで生活し始めてからもう間もなく1年が経とうとした2011年3月11日、東日本大震災が起きました。その悲惨さは筆舌に尽くしがたいものでした。震度6弱の揺れや重なる余震、インフラ基盤の揺らいだ状態で続く先の見えない日々の中で感じたことは「今、目の前の、生きている人と人との出会いやつながりを大切にしたい」というものでした。

そこから「人と人とをつなぐ」という、いわゆる“コミュニティデザイン”に興味を持ち、大学生だけで経営するカフェの創設へとつながりました。「25学類もの多様性ある筑波大学の学生同士のつながり、学生と地域の方とのつながり、地域の方同士のつながりを生む」という目的のもと集まった筑波大学生25人で「人と人とをつなぐ、つくばのアイデア発信基地」spice up cafe ALDORの創設及び運営に注力しました。

そんなカフェで出会い“つながった”方と一緒に商店街活性化の“おしごと”を始めたのが翌年のこと。茨城県下妻市、水戸市、神奈川県横浜市の各商店会さんと一緒におしごとをさせていただきました。

さらにその際の出会いから、京都市へと活動拠点を移し、本格的にコンサルティング業務を請け負うことになり、そのまま仲間3人とともに株式会社の設立となりました。その後も、“筑波大生”として授業や研究をしながら、おしごとを続けました。

さらに、まちづくりにより深くかかわりたいという想いからプランナーとしてのコンサルを続けながら、人材発掘と育成の場として、コワーキングプレイス『Tsukuba Place Lab』を創設し、今に至ります。

(Tsukuba Place Labはたくさんの“仲間”が集う空間になりました)


私の場合、特別なスキルや新しい手法に秀でて起業したタイプではありません。上述の通り、“流れに身を委ねて”起業に至りました。

とは言え、ずっと考え続けていたことが1つだけあります。

それは、どんな仕事や活動、延いては日常生活の一挙手一投足においてすらも、無駄なものは1つもなく、ゆえに『自由』かつ『責任』のある行動をし続けていたい、ということです。

私自身が自由かつ責任を持って行動を起こせる状態をつくる、その手段として起業したというのがさしずめ、私の起業に至った経緯です。


そんな考えの私にとって、起業してからの毎日は楽しくエキサイティングな日々の連続でした。今現在もそんな毎日を生きています。

常に自由でありながらも責任が問われ続ける。その際に明確な根拠がある場合はとても少ない。何を信じるのか…。仲間であったり、自分自身であったりすることがほとんどですが、その根底にあるのは「目指すべき“理想”」である、と私は考えています。

自分の成し遂げたい未来に全身全霊をかけて挑み続けることができるこの環境こそが、私の生きている道であるとともに、常に示し続けていきたいと考える生き方です。


私にとって起業は、その手段でした。

とは言え、目的でもありました。

起業すること自体にはさほど迷いませんでした。

しかし、起業してからは迷いの連続でした。

起業してからは楽しい毎日を送り続けています。

と同時に、苦しいこともたくさんあります。

何か成し遂げたいと思って起業しました。

しかし、その何かを常に模索し続けています。

「迷い、戸惑い、苦しみながら、少しずつ前へ進んでいくことそのものを楽しみたい」そう思えた時に、本当に毎日が楽しくなりました。

それは“起業する”という手段とは関係ない、と考えるようになりました。

どんな働き方をしようとも、

どんなおしごとを選ぼうとも、

どんな生き方をしようとも、

「自由と責任と、少しばかり大きな理想を抱えて生きていく」という、その生き方こそが、私にとってのEntrepreneurshipだと考えるからです。すべての人が、より良く生きられる社会になることを願って、すべての人のEntrepreneurshipが発揮されることを願って、私の記事は終わりにさせていただこうと思います。

ご覧いただきありがとうございました。


Text: Kyohei Horishita (株式会社しびっくぱわー)

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筑波大学出身の起業家、実業家から在学生の様々なEntrepreneurship(起業家精神)を知ることを目的とした、筑波フューチャーファンディング(TFF)のオウンドメディア「TwinWeeks」です。