筑波大学出身の起業家、実業家から在学生の様々なEntrepreneurship(起業家精神)を知ることを目的とした、筑波フューチャーファンディング(TFF)のオウンドメディア「TwinWeeks」です。
第2回のインタビューは株式会社シェアトレ代表取締役社長の木村友輔さんにシェアトレを立ち上げるまでと、筑波大学の環境について伺いました。聞き手はTFFの代表理事でもある佐々木敦也です。
木村友輔(きむら・ゆうすけ)現筑波大学体育専門学群3年で蹴球部に所属。大学2年の時にサッカートレーニング共有サイトシェアトレを立ち上げた。TFFでのクラウドファンディングを目標の360%の達成率でサクセス。2016年9月に法人化。現在は休学をし、シェアトレのサービス開発を行う。第4回常陽ビジネスアワードでJカレッジ賞(学生の部第一位)を受賞、みんなの夢AWARDでファイナリストに選ばれるなど活躍。
佐々木 敦也(ささき・あつや)1983年、筑波大学第一学群社会学類(法律学専攻)卒、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)。および朝日生命保険でエコノミスト、債券・為替ファンドマネージャー、朝日ライフアセットマネジメントで年金ポートフォリオマネージャー等を歴任。2003年、既存にない経済・金融サービスを目指して独立。豊富な金融経験を生かし、起業支援NPO、金融コンサルティング・不動産・M&A・投資教育事業会社などを設立、運営を行う。実績案件多数。2014年5月、クラウドファンディング事業を行う一般社団法人「筑波フューチャーファンディング(TFF)」設立。代表理事に就任。有限会社あおむしマネジメント代表取締役。
(佐々木)まずはじめに、木村さんがシェアトレを始めようと思ったきっかけと、どんな課題を解決しようとしているか教えてください。
(木村)現在、体育会のサッカー部に所属してます。部員が160人にいるんですが、その9割が地元の少年サッカーのコーチをしています。
1年生の時に入部してから一つのチームを決めて、4年間で継続してサッカーを子供達に教えます。
僕も少年サッカーの指導を経験することがありますが、僕は12年間サッカーをやっているので教えることは余裕だと思っていました。
でも実際は初心者の子供が多かったり、言葉でよく理解してもらえなかったりと難しかったです。
大学で僕が実際に行っている練習メニューをそのまま教えられないとか、僕が小学校の頃に行っていたメニューをそのまま教えても、楽しくなさそうだったりとか、そういうことで色々な課題を感じました。
ずっとサッカーをやってきた僕でさえ困っているんだから、周りにいるサッカーを
やったことのないボランティアコーチの方はもっと困っているんだろうな、という思いがあり、そういった人たちを助けてあげれば、子供たちがもっと楽しくサッカーをやれる環境になるんじゃないかと思って、色々模索しました。
その結果、トレーニングの共有サイト を考えました。
全国の指導者が自分の練習メニューを、これが子供達に人気だったよとか、成功体験も一緒に投稿して共有します。明日どういう練習にしようかなと思った時に、シェアトレで他の人がやっている練習を動画で見ることで、参考にし、自分のメニューに活かせると。
そういったcookpad のようなプラットフォームがあれば全国の指導者が助かるんじゃないかと思いました。
シェアトレのトップページ
(佐々木)指導法に関する本などあると思うんですけど、そういったものでは現実には対応がもっと難しいということですか?
(木村)練習本って静止画ですよね。選手はこうやって動きますって矢印で表示されるんですけど、
それって僕らサッカー経験者が見ても、とてもイメージしにくかったりします。
もちろん指導の経験が足りないということもありますが、実際にやってみて、うまくいかなかったりします。
分からない時にすぐ聞ける場がない、でもインターネットであれば、コメントが可能なので
メニューを投稿している人に対して、質問や疑問を投げかける。
そうしてコミュニケーションがとれることで、指導者間の交流につながることができるのではないかと思っています。
(佐々木)本などの静止画ではなくて、動画であるからこそ理解しやすい、また指導者間のリアルな交流を提供できるところがシェアトレの魅力なんですね。
(木村)他の企業も練習動画を作成してyoutube にあげたりするんですが、自分達に合ったレベルとか課題にあった動画を見つけるのが大変です。例えば今日は一対一の低学年のメニューやりたいと思った時にパッと探しに行ける場所がないんですね。
youtube で検索しても、ピンポイントで自分たちのレベルに合うかわからない。
レベル感があっているかは動画を見ないと分からないので、その手間を省くために僕らはタグを付けています。全てのメニュー動画をキュレーションし、タグを付けて、検索した時に出てくるようにしようとしています。
練習メニューって海外の動画でも理解できるんですよ。ということは、日本でそういったまとめができれば、簡単に海外の国に展開するという事も可能です。
最近ではアジアでもサッカー熱が高まっており、サッカー人口が増えています。
しかしサッカー人口は増えているものの指導者の育成が追いついていない、という問題が生じています。
つまりサッカーをやりたい人はたくさんいるにもかかわらず、指導者に教えてもらえない人が沢山いるわけです。
そういう人たちは、自分たちで練習メニューを考えるしかないんです。
それも、他の練習メニューを探したり本を買ったりしなければいけない。そういった時に、世界中の練習メニューが集まっていて、自分たちに対して、適切な練習メニューを探せるプラットフォームがあれば、中国でも活用してもらえる。そういったところにシェアトレの可能性を感じています。
(佐々木)収益モデルというところでは、サイトを見てもらう人にはもちろん無料で使ってもらうと思うんですけど、広告収入になるんですか?
(木村)シェアトレを始めたきっかけは、これが儲かると思ったからではなく、そういった現状を解決したいという思いです。
他のサイトを見ると、練習メニューを提供しているところはあるんですが、すぐにマネタイズしようとしてまして、広告をいっぱい入れて見づらいものになっています。
そこでユーザーが離れているのではないかと。
僕らはすぐ目先のお金にとらわれずに、本当のユーザのことを考えて、指導者全員が本当に使うようなサイトになっていけば、メーカーが広告を入れたり、コーチが使うマーカーやボールなどの物販を行うことができると思っています。
そういった展開を考えているので、すぐに指導者からお金を取るようなことは考えていません。
多くの人が使う、世界中の練習メニューが集まる様なサイトにしたいです。
僕が筑波大学体育専門学群に所属しているので、そこでは最新のコーチング学やトレーニング学を学ぶことができます。
そういった知見は一般的に論文などから得られるのですが、論文は一般の人達では分かりにくいので、僕たちがコラムで最新情報を提供していく。それも他のサイトと違うところです。
練習メニューは youtube で集めユーザーからも投稿してもらい、僕らはコラムで専門的な分かりにくい事も分かりやすいように情報提供していく。
この3本柱でやっていこうと思っています。
(佐々木)ユーザーファーストで、まず使ってもらうというのが大事ですね。
(木村)株式会社にしたのも僕らの信用を高めるという意味があります。
僕が学生でサービスを立ち上げたんで使ってくださいって言うよりも、
ちゃんと会社として行っています、というのを分かってもらいたくて、それで信用度が上がればいいかなと思っています。
以前からスポーツビジネスを使って、世界中の人たちにスポーツの楽しさを知ってもらいたいという夢があって、筑波大学に入ったんです。
そういったことができるチャンスがあるなら、起業しない手はないなと思っています。
(佐々木)どうしても社会人が起業すると、どうやって収入を描くかに、走ってしまうけれども、学生さんはもっとガツガツやっていけるっていうところが強みですね。学生起業のいいところを取ってる感じです。
ちなみに、シェアトレって、スポーツ全体に応用できますよね。
(木村)そうなんですよね。スポーツ全体にターゲットを広げるとさらに大きくPV数とかさらに稼げると思います。
それに筑波の体育には全ての競技のエキスパートが集まっていますし、そういった方に誰にでも相談できる立地でもあります。
筑波大学には他学部もあるので、今会社のデザイナーが芸術にいたり、情報の方に開発をお願いできたりとか、本当にいい人材があつまってるので、学生起業にとっては良い環境かなと思っています。
(佐々木)卒業するまでにユーザーをどんどん増やしていって、収益モデルが出て来れば、このまま就職しなくてもそれでいけますね。
(木村)就職も考えているんですが、まずは今のサービスにコミットして、その先は最終的には自分の会社持ちながらスポーツ界に貢献していくような会社を作りたいをと思っています。
そのためにスポーツ界の外で学ぶということも大事かなと思ってますが、それはおいおい考えて行こうと思っています。
学生の間はシェアトレにフルコミットして行こうと思っています。
Writing: Yoshihito Takashiba (TFF)
Interview, Edit: Satoru Tsunemachi (TFF)
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